詩>いのちは何をめざすのか vol.02

断片 2

たまにふっと死にたいと思う
次の瞬間
テレビでお笑い番組を見て馬鹿笑いしている

その後で
深夜のニュース特番に公憤を覚え
DVDで名作を見てはさめざめと泣いている

インターネットにつないでいた
パソコンの電源を切り
たちまち夜が深くなると
現実感から現実がずり落ちていくようで
このまま死んでしまってもいいような気に―――
また弱気になる

心の充足とは何なのか
生きがいって何だ
それは限られたモノたちだけの
特権なのかもしれない
多くは小さな満足くらいは手にするものの
充足や生きがいとは無縁だ

そんなもんさ、という声があちこちから上がり
そんなことはない、という声がところどころで起立する
その光景に関心を寄せるモノも少なからずいるが
大半は沈黙したままか
内々の内容のないおしゃべりに興じている
相も変わらず

強欲に眠ることで多くを忘却し
目覚めては新たに愉快を求める
ただし多くは求めない
絶望もしない

たまに死にたいと思うのも
きまぐれな暇つぶし

危機感は未だない