2009-01-01から1年間の記事一覧

詩>パソコンの電源を

とある深夜 パソコンの電源を切る 蛍光灯スタンドのスイッチを消す トイレに入る 冷蔵庫を開け水を飲む ベッドに横たわる 可もなく不可もなく 次の日の真夜中 パソコンと蛍光灯を消し トイレに入る 冷蔵庫から水を取り出して飲む ベッドに入る ささやかなが…

詩>プレゼント

ガガンボモドキという昆虫は メスの気を惹くため獲物となる小さな虫を贈るらしい 鳥であるカワセミも 捕まえた小魚を木や岩に打ちつけ 動かなくなったのを確かめてからメスにプレゼントする それに倣った訳ではないが ある女にささやかなプレゼントをした -…

詩>抽斗(ひきだし)

一日が終わると 私は私を脱ぎ 三つに折り畳んで抽斗に入れる ある夜 灯りに晒してみると いたる所がすり減っており ほころびかけている箇所さえあった 全体に色合いも褪せて くたびれた感は否めない とはいえ取り替えることなどできはしない 私はこれ一着き…

詩>ドア

ドアを開けると誰もいなかった 悄然と立ちすくむ後ろで いきなりドアが閉まる 感情的な勢いで 私は閉め出されたのか あるいは閉じ込められたのか

詩>あなたがあふれる

ある日 風をすべる花弁のように 詩の一片が心の縁に降りてくる それをきっかけに 土蔵のような古書店や海の見える図書館で 手当たり次第に書架から詩集を抜き出しては 愛の詩ばかり読みあさった 何時間も何日もかけて 一編一編は依怙地な心を丁寧に解き放ち …

昨日は…

更新もしていないのに、 昨日は思いがけず10人近くもの方々の訪問があったので 少しテンションが上がり、詩を一編まとめることができました。 週末までに発表したいと思います。 是非、ご訪問ください。

快便のように詩が

まどみちお氏が100歳を迎える今でも 詩作をつづけていると知り感激、力づけられた。 上手いフレーズを考えてやろうなどと色気を出すと、 ろくな詩ができない。 表現は随分尾籠なものになるが、 快便のように詩が生まれるのがいい。

詩>キミを今夜も

真冬の寒さに身体をこわばらせ 夏の記憶をたどっていると いつもキミのことを想い出す Tシャツとジーンズ 素足にスニーカー 片手をあげて眩しげに陽の光をさえぎる その腕がやけに白かった 口数の少ないキミに対して ぼくは徒なまでに饒舌だった 記憶にはっ…