詩>キミを今夜も

真冬の寒さに身体をこわばらせ
夏の記憶をたどっていると
いつもキミのことを想い出す

Tシャツとジーンズ
素足にスニーカー
片手をあげて眩しげに陽の光をさえぎる
その腕がやけに白かった

口数の少ないキミに対して
ぼくは徒なまでに饒舌だった

記憶にはっきり残るのは
繊細な感じのその横顔と
抑揚のあまりない声ばかり

思えばぼくの一方的な想いは成就せず
夏の終わりを迎える前に
ついえたのだ

白い息を吐きつつ夜道を散策しながら
夏の日のキミを
今夜も想い出していた