2005-05-23 詩>不安な睡眠 無音の時間が水圧となって迫ってくる ヒトは眠る間サカナになる エラで小さく呼吸し ときおり指先をヒレにして ピラピラ動かしてみせる 特別なんの意味があるわけでもなく ゆらめく寒色のゆめうつつ 部屋はコンクリートの水槽なのか いたるところ カキガラやフジツボ、カメノテなどが 重なり合いながら蔓延り 天井に密生する海綿のまん中で 赤紫のイソギンチャクが大輪の華を咲かせる 街中を巡回するクラゲがのぞき込んいく 遮光カーテンの隙間 いま 時刻はきっかり真直ぐである 看守る眼差しもなく 刻々 夜具はサンゴに覆われていく