詩>きみと別れを告げて

きみと別れを告げて一年が過ぎ
ひとり車を走らせる 日曜日の郊外
行く当てはない

ふとした気まぐれから
次々にすれ違う車の助手席にきみの姿を捜した
もちろんきみとそんな風に出会うことなど
そうそうありはしない
けれども
それを始めるとなかなか止めることができなかった

日が暮れかかり
いつしか夕日を追うように走っていた
見知らぬ湾岸道路でスピードを上げ
初めての町並みに入って
どこにでもあるファミレスに立ち寄った

不味いコーヒーと家族連れ達の喧噪で
感傷的な気分はたちまち萎んだ

夜はすでにそこにいた
窓を全開して右側に潮騒を聞き
車は再び湾岸道路を疾走する

これからどこへ行くのか 帰るのか
はたして自分はどこに向かっているのか

分からない 何一つ
きっぱりきみと別れてしまったのだ
ということ以外何も考えられなかった