いつも 死について考える 自分自身の死を 近しい者たちの死を

夜のベッドのまわりで


夜半のベッドに潜り込むとき
いつも 死について考える
自分自身の死を
近しい者たちの死を
さらに 死んでいった者たちのことを

ときには
闇底のベッドのまわりに
逝った者たちが整然と集ってくる
だが 誰も彼も一向に口を開こうとはしない
彼らの思いは過去のなかに完結してしまったのか

彼らは決して多くのことは残さなかった
だが 生きている者たちの記憶の原野に
彼らはしっかりと生きる

ある日僕が死ぬとして
同じように
たとえば身内の者や親しき友人たちの内なる領土に
多分 生きつづけることにだろう

しかしそれは僕であって僕でない
記憶はその人を単純化してしまうから
だとしても そんなことはどうでもいい

そうした他愛もない事に
あれやこれや考え巡らすうち
やっとのことで眠りに零ちるのだ