詩>姉のように青空が覆い被さってくるのだった

夏と青空と運動場と


運動場の真ん中に
帽子を目深に被った少年のぼくが立っている
うしろの空は気の遠くなりそうなほど深く青い

壁面も内庭も濃い影に塗りつぶされた
コの字に建つ木造校舎

何ものかの気配で
姦しい蝉しぐれがたちまち止むと
ゆるやかな時間が一瞬のうちに結晶した
その瞬間をとらえ
卒倒を真似て少年のぼくは砂場へと
うしろ向きに倒れた
それは危険なひとり遊びの一つだった

しばらくそのままでおり
そのあと
軽い脳震盪にめまいしながらそっと目を開けみる
すると、そこへ
姉のように青空が覆い被さってくるのだった