夏服の少女はどこかへ消えてしまったのか

晩夏


にぎやかな客たちを乗せて
路線バスが立ち去る

鄙びたバス停は木漏れ日を浴び
波紋のような網目模様のなかにたたずむ

足もとに寄せてはかえす潮騒
時折 その静けさを風がさらっていく

想い出を胸のブローチにして
夏服の少女はどこかへ消えてしまったのか
疎らな人影が海ばかり見つめている

廃屋のドライブイン
ひとりごつウマオイの声の普遍
劫初より永劫まで

心がふと空っぽになる
早くも夏の終わりに気づいたらしい