むこうを向いた裸の背中が

午前二時半の満月


なにやら気配を感じて目を覚ますと
遮光カーテンの隙間から
月の光が射し込んでいた

大都会の中天にかかる月は
妖しい熱を帯びてみえた

ほどなく そのおぼろな白さは
あのヒトのことを思い起こさせた

今夜もあのヒトはさまざまな密室で
男たちのざらついた渇望を
ていねいに癒しているのだろうか
それがビジネスとはいえ
ときには傷つくことも覚悟の上で

むこうを向いた裸の背中が
少しふるえている
声を殺して

ボクにできることは何もない
祈ることと愛しむこと以外
何も