詩>踏切で待っているのは

踏切

踏切で待っているのは
私ではない
待っているのは私の言葉だ
あなたに届けられるために

遮断機を潜ろうとしているのは
私ではない
潜ろうとしているのは私の欲望だ
あなたの胸に口づけするために

警笛の前をあたふたと駆けていくのは
私ではない
駆けていくのは私の愛だ
あなたに受け入れられたいが一心に

やがて
遮断機が上がり
あなたが向こう側から駆けてくる

いま 列車が通過したばかりのレールの上で
あなたを抱きとめる
遠去かっていく危険を
靴底に感覚しながら