詩>好きでもないと 好きでないでもないと

         

好きでもない女に電話をかける
好きでもないから話すことなどあるはずなく
好きでもないが退屈だから映画に誘う
好きでもないはずの女はついてくる
好きでもないのに腕をからめあい
好きでもない街にでる
好きでもないくせ好かれたがりのつまらぬ女
好きでもないのを好いたふり
好きでもないんで笑いをつくり
好きでもないと気取られぬように
好きでもない映画を眺めながら
好きでもない口唇にキスをする


         

好きでないでもない女に電話をかける
好きでないでもないのに話が尽きて
好きでないでもないから映画に誘う
好きでないでもないのか女はついてくる
好きでないでもないが間をおいて
好きでないでもない街にでる
好きでないでもないくせ心のままを許さぬ頑な驕り
好きでないでもないのを素直に悦べぬ心の焦り
好きでないでもないんで笑いをつくり
好きでないでもないと気取られぬように
好きでないでもない映画もうわの空
好きでないでもない口唇にキスする夢をみる