詩>彼・彼女・ 俺

彼と彼女
彼と俺
彼と彼女と俺

俺たち三人は街に出る
三人並んで通りを歩く
しかし 俺の心は常に彼らの歩調に遅れがちだ
俺たちはサテンに入る
彼と彼女       と俺
俺たちは街並のことや公園のことを話題に談笑する
書物のことや映画のこと
そしてまた世間のこと
それから生きるということとか
自分たちの未来とか

彼がふと手洗いに立つ
彼女と俺
俺は彼のことを話す
彼女も彼について喋る
俺は彼女に彼女自身のことを尋ねる
彼女は自分自身のことを語る
彼女は彼についてのことを訊いてよこす
俺は彼に関することを教える
彼が戻る
彼は彼女のことを聞かせる

俺たちはまた通りに出る
歩くうちに俺たちは分岐点に突きあたる
そこを左に曲がり
彼女を真ん中に俺たち三人は駅に向かう
三人に新しい旅立ちがこれから始まると彼が言う
彼女は嬉々として彼の腕に腕を絡め
それから俺の手を握る
何故あそこで別れられなかったのかと
そればかり心に悔いていると
俺の顔をじっと凝視め
やがて彼女は媚びるように微笑みかける