詩>雨が降りつづく

目覚めると雨だった

パジャマを脱いで普段着へと着替え
洗顔と朝食の用意をすませてから
コーヒーカップを片手に外を眺めてみても雨だった

夫を送り出した後
食器を片付け、掃除、洗濯をこなし
ほんの束の間ソファに腰を下ろして週刊誌をめくってみる頃にも
雨は降りつづいていた

それから昼食を簡単にとり
面白くもないテレビのスイッチを切って
乾燥機から取り出した洗濯物を丁寧に折り畳むと
すぐさま箪笥や整理ケースへしまい込んでいく
その間も雨は降りつづいた

いきなりのチャイムに胸をときめかせ
玄関ドアを開けつつ顔を出した向こうに宅配業者の男が立っていたが
その背景で雨脚は一層烈しくなった
受け取った伝票は水溜まりにでも落としたのか濡れていた

面倒くさくなって買い物に出掛けるのもやめにし
読みかけの文庫本のページを繰っているうちに眠りに落ちたものの
意識の片隅に雨は降りつづく

雨はいつまでも降りつづくだろう
ひょっとしてもう止まないかもしれない
それを密かに希んでいる