詩>食事

中年の男と女が食事をしている
簡素な中華料理店だ
女は先っきから同じ愚痴話を繰り返す
時々、女の胸元辺りに目を遣りつつ
男がそれを聞き流す

ふと、軽く開けた口唇を突き出すようにして
何かを言いかけ
口の端に付いた脂を
ナマコのような舌が嘗め取る

女のおしゃべりには際限がない
濃すぎる化粧が明らかに彼女の美しさを損なっている

それでも男は女を捨てないだろう

陰靡な、そこはかとない関係が
熟しすぎたリンゴのようににおってくる