詩>部屋 (春)

光は脚を截りとっている

水漕には幻が
指先に見えない棘が

辺りを不在なるものがうろつきまわる

低く翅音のしているような
近くなり 遠くなり
止み また唸り

足音が窓下を通り過ぎる

俄かな陽の翳り
変幻と床に描かれる霞模様

そこここで
生欠伸が惹き起こす
小さな真空

 こんにちは
 いい陽気になりましたね
 どうも久しぶり
 最近はどうです
 じゃあ あとで
 さよなら お元気で
 
 明日までもちますか
 あしたまで

光は踝を截りとっている

花瓶に腐臭が
視界に痛点が---