詩>未知の街

誰もがみな空のことなど忘れている
だから 陽の光も星々の光も垂直に零れてくる

あんまり辺りが明るいので
人々はねぶそうに光に身を委ね
散策したりベンチに腰掛けたりして
実は忙しい

何の予兆もなしに突風が起こり
幾人ものモノ達が枯葉のように
吹き溜りに追いやられる
不服の様子もなく
彼らはまたそこで無駄話を始める

凝固した風景
世界のモノログな響き
それぞれのモノが
それぞれの表情をもち
それぞれの位置で
それぞれの時間を見つめている
お互いがお互いに対し
それぞれ自分の夢を塗りたくっている

風化を聴く耳の洞
実直強情の背骨
涯なき憧憬を秘めた瞳孔
(本当は、何も抱かぬが故の際限なき広がりかもしれない)

落日とともに彼らは東へ引き揚げていく
手と手を繋ぎ合い今日のことはすっかり忘れるように
悽惨な明日は決め事通りにやってくるから

ささやかな夕べの団欒のため自然早足になる

彼らはそこでこの一日が
いかにいつもと変わりないものであったかを
自慢気に報告し合うのだ