詩> 眠る人々へ

人々の気配は途絶えた
開かれたページで
言葉は同じ場面(シーン)をなぞっている

聞こえているのは
静寂(しじま)の被膜の顫え

光が包むものはもうない
そして 言葉が名付けねばならないものも

別れたひとのことなど
誰も思い出そうとはしないだろう
皆 もうベッドにある
それぞれ星と星のように遠く離れた
放神の部屋に

いま 眠るものたちだけが優しい
その優しさに耐える