詩>ふりだしにもどる

朝まだき
地平に炎えるニクロム

午すぎて
沖に浮かぶ 工業団地の蜃気楼
島よりも巨大な殺人ハマグリ

濃紺の夕べ
赤錆びた鉄鋼の森林の奥深くに
匿された溶鉱炉

夜に盲い
寝汗をかいて
徒に死を恐れる
-----ふりだしにもどる


ふりだし地点に立ったままの
あの男は今日も泣かなかった