詩>二月の空

凍てついた空をわたるのは
トリという翼の生えた幻想だ

地平線のはてから水平線のはてへと
それらは徒党を組み
ゆっくりゆっくりと北上していく

こんな光景を夢にみたような気がする
夢のつづきでは
何もいなくなった空の真っ只中で
ひとり自分が磔にされていた
あれはいかなる咎に対しての罰だろう

静まりかえった空に
出番待ちの緊張がつたわってくる

一片の雲影もない舞台へと
次にあがるのは
プテラノドンや始祖鳥か
さまようシロナガスクジラ
回遊する魚の群れか

夕闇がおとずれ幕が引かれるまで
白日夢には際限がない