詩>七月の空

気持ちよさそうに空を泳ぐ
女の裸体
ショートヘアが意志の強さと知性を感じさせ
のびのびとした泳ぎが性格の鷹揚さを示している
なによりも
長い手足の繰りだすクロールのフォームが
美しい

ひとところをめぐる軌跡は
空に∞を描きだしている

その白く蠱惑的な肉体のせいなのか
あるいは太陽の烈烈たる光線のせいか
男たちは眩しそうに目を細めては上体をそらし
しかつめらしい顔をしてみせる
厚い胸から汗を噴きながら
そのようにして彼らは
いつまでも見あきることがないようだ

だが
まもなく彼女は両手を高くあげ
身体を立てなおすと
勢いをつけて空の深みへともぐっていった

一直線に下降していく裸身は
みるみるピン先ほどになり
やがて 見えなくなった

身まもりつづけた男たちの充血した網膜には
彼女の豊かで張りのある臀部が
強く焼きつけられている