詩>殺された子供は

殺された子供は
 
殺された子供はもう何も話せない
慰めの言葉を聞くこともできないし
夜空の星を数えることもできない
喜びを歌うことも
全力で走ることもできない
 
頼りとする父親母親に愛してもらえず
それどころか 
ひどくぶたれたり
怒鳴られたり罵られたり
蔑ろにされたり
その存在を否定されたり
 
それでもその子は生きたいと思っただろう
愛おしまれ誰かに抱きしめてもらえる
そんな日を夢見たろう
テレビで目にしたような
ごく当たり前の団欒を願っただろう
 
だが 殺された子供はもう願えない
声の限り叫べない
心安らかに眠れない
誰にも甘えられない
抱き寄せられたときの力強さや温もりに
胸を躍らせることもできない
どんな夢も語れない
 
殺された子供は涙も流せない
もう二度と