詩>十一月の空

一体なにを喪なうことをおそれているのだろう
晩秋の空は地上のなにもかもを
引き込んでしまいそうではあるのだが

叫ぼうとしても声にはならないとでもいうのか
ヒトは心を鎖し 頭をたれて
時々支えきれなくなりそうな存在の重みを
厳かに体感する

仰ぎ見るだれもが
まっさかさまに空へと落下していく幻覚にめまいして
それを契機に
もうこれ以上なにも考えまいとした

いいことなんてあまりない
かなしい気分さえかなしめないで
すりガラスのように不透明な気持ちをもてあます

  晴れわたった空は嘘っぽい
  だけども
  曇り空なら
  すなおになれる

少女趣味なフレーズがやけに胸にしみる