詩>夜がなかなか明けそうにない

夜はなかなか明けそうにない
夢の路頭で流浪する魂は
いま 切なく声を張りあげる
そうして じっと時間を耐え忍ぶ他ないかのように

分析心理学者・ユングは語る
個人の無意識と集団の無意識との
水脈のような連繋を
きっと ひとりは独りきりではない

明日もあさっても次の日も  
いつだってきみは待ち人だ
失するものなどありはしない きみをおいて何も

手を差し伸べて それから
幾夜も幾夜も夢は同じ始まり
累々と心にきみが堆積するばかり