なんてオレはバカなのだ

なんてオレはバカなのだ
to Truth

なんてオレはバカなのだ
好きでもないのにその気もあるような
あなたのその微笑みに心惹かれて
あれやこれやと思い入れ
好きでもないからときおり垣間見せるつれなさに
むくれたり 憂えたり
なんでもかんでも悪意的に思いはじめる

なんというオレはバカなんだ
それでも
好きでもないための気まぐれからか
ことさらに顔を寄せてくるような仕草の一つ一つに
頬を火照らせ胸さえ苦しくさせて
たちまちすべてを好意的に考えはじめるのだ
オレは知っている
あなたが嫌っている男にさえ見せた数々の甘い囁きを
それなのに
オレはどこまでバカなのか

なんてオレはバカなのか
訊いてもいないのに
「恋人ができたの」とあなたが言う
聞きたくもないのに
「倫理に反することはいやなの」とあなたが言う
誘いをかければ
「当分、忙しいから」とあなたが言う
なにもかもはっきりしている
あなたにしてみれば自らオレになど関わりたくないのだ
なのにオレはそれらの言葉が示す心の向きなど理解できず
汲み取ろうともしない
そうして望みのない希望を追いつづける

オレはなんというバカなのだ
オレ自身の気持ちを大事にできないで途方に暮れる
あなたの思いが予想できないで哀しみにくれる
あなたの思いの丈が簡単に見えてきそうで不安に怯える

やっぱりオレは本当にバカ野郎だ
おめおめと書きつらねてきたこんな詩を
この期にも及んでなお読んでもらおうとするなんて
そうしてあなたの気を今一度惹こうとするなんて