爆発的な人口増加が辿るであろう運命

「ヒトという生きもの」 <草思社> 柳澤嘉一郎・著

『この本を読め!』などと偉そうなことを言いながら、
最近はめっきり読書量が減ってしまいました。

さて、以下、本文から気になった章について紹介します。

1973年、J・カルフールという学者は2.4メートル四方の巣箱を作り、
そこにハツカネズミのツガイ8匹を入れて水と餌を十分に与えます。

ハツカネズミの寿命は2年半ほど、妊娠期間はほぼ20日間です。
一回の出産で5,6匹の子供を産み、3ヶ月ほどで子は親になるそうです。

1年半後、マウスは2200匹になり、その後それ以上は増えません。
2年半も経つと、寿命のきたネズミは死にはじめ、
また新しく子が生まれることがないまま減少をつづけて、
4年4ヶ月ほど後にはたった27匹だけとなってしまいます。
さらに2ヶ月経った4年半後、集団は完全に壊滅してしまったという話です。

過密がマックスとなると、ネズミたちは無為徒食、惰眠を貪り、
他者への関心が薄れて、交尾もしなくなり、
たまに妊娠、出産してもメスはそれを育てようとしない。

一方、オスは攻撃的になって、突然の噛み合いが頻発したという記録もあります。

ネズミでの実験結果を人間社会に結びつけるのは早計との反論が研究者間にあるようですが、
著者はこれを人間社会の将来を暗示するものに思えてならないと述べています。