詩>シエスタの記憶 Ⅰ

なにもない なにもない午下がり
訪問者もなければ誰かとの約束もない
やり切れないくらい晴れ上がった休日の空を
音もなく 引っ掻いていくひとすじの飛行機雲

なにをする気にもなれず
徒に哀しみの記憶を弄んでいると
なんとなく ただなんとなく
存在していること自体がつらく思われてくる

懶惰と悔恨の苔むす部屋をあとにして
街中へと彷徨いでても
落ち着く場所は疾うに奪われている

行き交う群衆に呑みこまれ
復讐をせめてもの慰みにショーウインドウの風景を往き過ぎる

---先ず 誰を殺るべきなんだ